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涙腺ドロップ 16

アッサムの話を聞いて、ピックは言い方にはかなりムカついたが、なんとなく納得したような気分になって、答を求めるようにリボンの顔色を窺った。

リボンも、似たような気分だったのか、反論せずにこう言った。
「そっか…。なるほどね。」

「それでさ、思ったんだけど…。」アッサムは、そう言ってゆっくり立ち上がり、三人の目を順番に見てから、もごもごした声でこう切り出した。
「俺を仲間に入れてもらえんだろうか?」
「仲間って、ウチらのバンドに入りたいってこと?」
リボンが聞くと、アッサムは大きくうなづいて、「それがいいんでないか…。」と言った。

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by Joker-party | 2012-02-21 17:14 | Comments(0)

涙腺ドロップ 15

その後、アッサムが一気に熱くなって語った感想は、次のようなものだった―――。

最初の演奏を聞いて失神したのは、前夜ほとんど眠れなかったせいもあるが、なんとも言えない恍惚感が襲ったのも事実で、今まで音楽を聴いてそんな気分になったことはないから、自分にとっては少なくとも悪くない体験だったし、なんだかふわふわと宙に浮かんでいるような気分と、急激な睡魔により、急速に熟睡したようだが、しばらくして聞こえてきた、おそらく二度目であろうと推測される演奏は、最初に体験した音とは全然違っており、まったくもって魂が籠もっておらず、ヤッツケ仕事のようであり、ほとんど音楽のことなどわからん自分のような者にとっても、舐めてるとしか思えず、簡単に言えばクソである。

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by Joker-party | 2012-02-15 14:56 | Comments(0)

涙腺ドロップ 14

そして、ふてぶてしく足を組みかえると、さらに言った。

「もう、全然違うからっ!」
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by Joker-party | 2012-02-10 15:58 | Comments(0)

涙腺ドロップ 13

アッサムの覚醒を黙って見詰めていても仕方がないから、もう一度演奏して様子を見ようという提案に従って、三人は再び『チョーク』を始めた。そうはいっても、即興から産まれた曲だから、毎回同じになるはずもない。

二度目の演奏は、なんだか冴えないとピックは感じていた。ピアノに弾けるような力強さがなく、それに伴ってタンバリンも元気がない。そう感じると、なんとなくピックも気が抜けてしまい、パンチに欠ける叫びになってしまった。

そんな演奏の途中で、アッサムがすっくと急に起き上がり「なんじゃ、そりゃ~!」と怒鳴った。驚いて演奏を止めた三人に向かって、アッサムは極めて冷静に「全然さっきと違うんだよなあ」と言った。

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by Joker-party | 2012-02-04 16:50 | Comments(0)

涙腺ドロップ 12

質問の意味がわかると、モグラはどこで覚えたのか見掛けだけは一人前に胸に手を当てたり手首を握って脈を取ったりした後、「生きてますよお」と言った。ピックも呼吸を確かめてみたが、たしかに死んではいないようだった。

そうなった以上、医者を呼んだりして下手に騒がない方がいいということになって、とりあえず三人は失神状態のアッサムを寝かせたまま見守ることにした。

次第に陽が傾き、物置小屋にも西日が差し込んできた。口を半開きにして横たわるアッサムを前に、さっきの達成感に似た気分は薄れて、むしろどんよりした空気が三人を包んでいた。

長い沈黙の後、急にリボンが声を上げた。「ねえ、もっかいやってみない?曲…。」

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by Joker-party | 2012-02-02 06:41 | Comments(0)

校倉元の冗談なブログ


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