2010年 05月 08日
砂の家
大通りを抜けて、狭い路地に入ると一軒の古いアパートがあった。
いや、古いというより朽ちたと言った方がいい。
なにしろ木造の壁は傷だらけで屋根も傾いており、窓はすべて閉ざされている。
錆びた金属製の集合ポストからは風雨にさらされたチラシがはみ出し、一階入口の扉には南京錠が掛かっている。
どこから見ても人の住んでいる様子はない。
ポストの横には、二階へ上がる鉄の階段があった。
上を覗くと、扉はないらしく廊下が見えた。
不思議に思って階段を昇ってみると、ゴミの散乱した廊下に面して三つばかり部屋があるようだ。
そして、一番手前の部屋の扉が開いている。
恐る恐る中を覗くと、なんとそこには人がいた。
窓の方を向いて座っているのだ。
思い切って「済みません」と声を掛けてみた。
すると、その人は前につんのめって倒れた。
あっと思った瞬間、その人は崩れて砂になってしまった。
私は、アパートが砂になる前に逃げなければと必死で駅まで走った。
駅前の商店街では、糠漬の特売だ。
いや、古いというより朽ちたと言った方がいい。
なにしろ木造の壁は傷だらけで屋根も傾いており、窓はすべて閉ざされている。
錆びた金属製の集合ポストからは風雨にさらされたチラシがはみ出し、一階入口の扉には南京錠が掛かっている。
どこから見ても人の住んでいる様子はない。
ポストの横には、二階へ上がる鉄の階段があった。
上を覗くと、扉はないらしく廊下が見えた。
不思議に思って階段を昇ってみると、ゴミの散乱した廊下に面して三つばかり部屋があるようだ。
そして、一番手前の部屋の扉が開いている。
恐る恐る中を覗くと、なんとそこには人がいた。
窓の方を向いて座っているのだ。
思い切って「済みません」と声を掛けてみた。
すると、その人は前につんのめって倒れた。
あっと思った瞬間、その人は崩れて砂になってしまった。
私は、アパートが砂になる前に逃げなければと必死で駅まで走った。
駅前の商店街では、糠漬の特売だ。
by Joker-party
| 2010-05-08 03:00