テキーラ・サンライズ

マイコちゃんはテキーラ・サンライズが大好きです。
南の島のようにグラスに漂う液体が大好きです。
ほんのり酔った時のお空に浮かぶ気分が大好きです。

でもマイコちゃんは小学生なのでバーには入れません。
身分証明書を出せと言われるから入れません。
だから、いつもモグリのバーに行きます。
年齢を聞かれると70歳だけど病気で縮んだと言います。

お金のためならなんでもするモグリのバーの経営者はモグラです。
昼間は地下に身を潜めて深夜に現れます。
光が苦手なのでサングラスを掛けています。
マイコちゃんはお金がないのでモグラに写真を撮らせて飲みます。

ああ、マイコちゃん。
なぜに、君はテキーラ・サンライズだけのためにモグリのバーへ通うのだ。
モグラよりパパの溜息の方が軽いのか。

マイコちゃんは今宵もテキーラ・サンライズを求めて地下へ地下へと走るのです。