あしかの悩み

あしかは悩んでいた。
巨大な身体が重くて、駅まで這って移動しなくてはならないからだ。

あしかと言えども駅に行かなくては汽車に乗れない。
汽車に乗らなければ浜松に行けない。
浜松に行かなければ交渉決裂なのだ。

浜松には、唯一あしかを支援してくれる親戚がいる。
四面楚歌のあしかには、どうしても助けが必要だった。

そもそも、あしかは人付き合いが苦手だった。
むしろ人を避けて来たと言ってもいい。

しかし、駅まで這って行くと多くの人々に見られてしまう。
もし誰かに声を掛けられたらと思うと、あしかはノイローゼ気味になった。
そして、結局駅には向かわずに海に戻っていった。

あしかは、海の中で泣いた。
その声は波に掻き消されて聞こえなかったし、涙も海の水に混じってわからなかった。
浜松の海岸であしかの死骸が発見されたのは、それから1年後のことだった。

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by Joker-party | 2010-12-13 11:07 | Comments(0)

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