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涙腺ドロップ 22

その頃、アッサムが働いていた八百屋の斜め前にあった床屋の亭主が飼っていた犬が逃げ出したのだが、太郎と呼ばれていたその犬が逃走の末辿り着いた港町のスナックで働いていたのが喜八郎という男だった。

喜八郎は、職を転々としていたが、どこも長続きせず、あっちへフラフラこっちへフラフラしていたのだが、なぜかこのスナックだけは一年以上も続いていた。

彼に与えられた仕事は、ツマミの買い出しやら、仕込みやら、便所掃除やら、切れた電球の取替えやら、言ってしまえばホステスとは名ばかりのオバチャンたちがする接客以外の雑用すべてだったが、黙々と働いていれば褒められもしないかわりに辞めろとも言われなかったので、結果的に続いていたのである。

by Joker-party | 2012-04-07 10:07

冗談会議の怠慢なブログ


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