2012年 04月 21日
涙腺ドロップ 23
黙々と―――。そう、喜八郎は、極めて無口だった。
用事を言い付けられても、たいがい無口でうなづくだけだった。
しかし、それはけして反抗的な態度には見えなかったし、むしろ下心見え見えで弁舌爽やかなる客たちに比べれば誠意ある態度に見えたから、ホステスたちにとって問題なかった。
喜八郎は、仕事中はもちろんだったが、店が終わった後もほとんど誰とも口をきかなかった。
働き始めた頃には、たまに機嫌のいいホステスが一緒に飲もうと誘って、何度か付き合ったこともあったようだが、そういう場合でも、ほとんど無口だったから、次第に誘われることもなくなって、今では彼がどんな声をしていたかさえ忘れ去られていた。
用事を言い付けられても、たいがい無口でうなづくだけだった。
しかし、それはけして反抗的な態度には見えなかったし、むしろ下心見え見えで弁舌爽やかなる客たちに比べれば誠意ある態度に見えたから、ホステスたちにとって問題なかった。
喜八郎は、仕事中はもちろんだったが、店が終わった後もほとんど誰とも口をきかなかった。
働き始めた頃には、たまに機嫌のいいホステスが一緒に飲もうと誘って、何度か付き合ったこともあったようだが、そういう場合でも、ほとんど無口だったから、次第に誘われることもなくなって、今では彼がどんな声をしていたかさえ忘れ去られていた。
by Joker-party
| 2012-04-21 09:01