2012年 05月 11日
涙腺ドロップ 25
太郎は、喜八郎の言葉に従っておとなしく黙って待っていた。
喜八郎は、洗濯物を干し終えて振り向くと、太郎の頭を撫でて「よし、いい子だ。それで、いったいどうしたんだ」と訊ねた。
「バリカンが危ない」犬は言った。喜八郎には、たしかにそう聞こえた。
「バリカン?」
「俺の主人は、そう呼ばれている」
「おまえの主人のバリカンが危ないんだな」喜八郎が聞くと、太郎はうなずいた。
「どこにいるんだい、そのバリカンってヤツは」
「付いて来るか?」犬は荘厳な声で言った。
スナックが休みだったし、太郎の声にはどこか逆らえない切実さが籠められていたので、喜八郎は彼に付いて行くことにした。
喜八郎は、洗濯物を干し終えて振り向くと、太郎の頭を撫でて「よし、いい子だ。それで、いったいどうしたんだ」と訊ねた。
「バリカンが危ない」犬は言った。喜八郎には、たしかにそう聞こえた。
「バリカン?」
「俺の主人は、そう呼ばれている」
「おまえの主人のバリカンが危ないんだな」喜八郎が聞くと、太郎はうなずいた。
「どこにいるんだい、そのバリカンってヤツは」
「付いて来るか?」犬は荘厳な声で言った。
スナックが休みだったし、太郎の声にはどこか逆らえない切実さが籠められていたので、喜八郎は彼に付いて行くことにした。
by Joker-party
| 2012-05-11 07:44