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涙腺ドロップ 25

太郎は、喜八郎の言葉に従っておとなしく黙って待っていた。

喜八郎は、洗濯物を干し終えて振り向くと、太郎の頭を撫でて「よし、いい子だ。それで、いったいどうしたんだ」と訊ねた。

「バリカンが危ない」犬は言った。喜八郎には、たしかにそう聞こえた。
「バリカン?」
「俺の主人は、そう呼ばれている」
「おまえの主人のバリカンが危ないんだな」喜八郎が聞くと、太郎はうなずいた。
「どこにいるんだい、そのバリカンってヤツは」
「付いて来るか?」犬は荘厳な声で言った。

スナックが休みだったし、太郎の声にはどこか逆らえない切実さが籠められていたので、喜八郎は彼に付いて行くことにした。

by Joker-party | 2012-05-11 07:44

冗談会議の怠慢なブログ


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