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『パンとペン』

激怒は収まらないばかりか、新たに怒るべき状況が増える毎日ですが、「蜜柑が美味い!」とか言って逃避的放置を続けているのもどうかと思って、気を取り直してブログを再開しました。

読んだ本の話を、久しぶりに書いてみます。
最近読んだ本の中で、とても面白く勉強になったのが、黒岩 比佐子さんが書かれた『パンとペン』という本です。(講談社/文庫版もあり)

この本は、幸徳秋水と共に「平民新聞」を発行していた「平民社」の仲間で、秋水らが「処刑」された「大逆事件」と呼ばれる政治的事件において、たまたま別の事件で獄中にいたため命を拾った堺利彦なる人物について書かれたノンフィクションです。
堺利彦という名前だけは知っていましたが、平民社にいたことぐらいしか知らなかったので、この本を読んで、まったく知らなかった多くの事実がわかり、大きな衝撃を受けました。

本の中では、社会主義者として生きた堺利彦の生誕から死までが書かれていますが、その中でも本のサブタイトルに〈社会主義者・堺利彦と「売文社」〉とあるように、彼が作った会社「売文社」について多くのページを割いて書かれています。
この「売文社」とは、翻訳者としての実力もあった堺利彦が、翻訳のみならず「商品の宣伝コピー」や「離縁状」まであらゆる文章の「代筆業」を主な仕事として興した会社なんですが、恥ずかしながら、この本を読むまでその存在さえ知りませんでした。

彼は、秋水らが「処刑」され、社会主義者たちが続々と弾圧され、言論統制も厳しくなった時代に、国家権力から「抹殺」される事態を巧みにかわしながら、来るべき「冬の時代」の終わりを目指して、反骨精神を持ちつつ「売文」すなわち「文章を売って」生計を支えていたのです。
そんな彼の考え方や手法に感心しながら、今現在の日本で我々が直面している「冬の時代」が迫り来る危機的状況と重なって、多くのことを考えさせられました。

彼の政治的な立場や考え方に賛同するかどうかは別にして、ノンフィクション作品として、とても面白い本だったので、もし興味が沸いたら読んでみてくださいませ。
by Joker-party | 2013-12-29 13:43

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