2008年 03月 15日
毒薬あります
駅の高架下にある汚い屋台に、『毒薬あります』という貼り紙があった。
俺は、気になって足を止めた。
屋台には、何日も髪を洗っていないような髭も伸びっぱなしの男がいた。
俺は、貼り紙を指差しながら小声で男に聞いた。
「これ、どういうことですか?」
すると、男は一言「書いたとおり」と答えた。
「どんな…その…あれなんですか?」
そう聞くと、男は両手の人差指でバッテンを作って黙っている。
言えないという意味なのか、強力だという意味なのかわからないが、なんとなく凄そうだ。
俺は、しばらく考えてから一番小さい瓶を一本買った。
コートのポケットに小瓶を入れて、駅のホームに向かった。
ホームには、驚くほど大勢の人々がカメラなどを構えて集まっていた。
近くにいた人に聞くと、『銀河』とかいう寝台急行の最終運行だという。
集まっていたのは鉄道マニアだったのだ。
ホームを見廻してみると、そのほとんどが男性だった。
どうしてこんなにも女性が少ないのか不思議な気がした。
鉄道マニアの群集を見ているうちに、なんだか無性に悲しくなってきた。
そして、気が付くと涙が溢れ出していた。
久しぶりに泣きながら、俺は無意識で小瓶の液体を飲んでいた。
やがて列車が入線し、そしてマニアたちの嬌声と共に去って行った。
俺は、ホームに立ちつくしたまま、毒に犯されていく自分を想像していた。
俺は、気になって足を止めた。
屋台には、何日も髪を洗っていないような髭も伸びっぱなしの男がいた。
俺は、貼り紙を指差しながら小声で男に聞いた。
「これ、どういうことですか?」
すると、男は一言「書いたとおり」と答えた。
「どんな…その…あれなんですか?」
そう聞くと、男は両手の人差指でバッテンを作って黙っている。
言えないという意味なのか、強力だという意味なのかわからないが、なんとなく凄そうだ。
俺は、しばらく考えてから一番小さい瓶を一本買った。
コートのポケットに小瓶を入れて、駅のホームに向かった。
ホームには、驚くほど大勢の人々がカメラなどを構えて集まっていた。
近くにいた人に聞くと、『銀河』とかいう寝台急行の最終運行だという。
集まっていたのは鉄道マニアだったのだ。
ホームを見廻してみると、そのほとんどが男性だった。
どうしてこんなにも女性が少ないのか不思議な気がした。
鉄道マニアの群集を見ているうちに、なんだか無性に悲しくなってきた。
そして、気が付くと涙が溢れ出していた。
久しぶりに泣きながら、俺は無意識で小瓶の液体を飲んでいた。
やがて列車が入線し、そしてマニアたちの嬌声と共に去って行った。
俺は、ホームに立ちつくしたまま、毒に犯されていく自分を想像していた。
by Joker-party
| 2008-03-15 10:27