2008年 05月 10日
魚の住む家
数男は、最近帰宅の遅い妻のことが気になって仕方なかったが、さんざん悩んだ末、ついに妻を尾行しようと決心した。
そして、視界が効かないことを考慮して、雨の激しく降る夜に尾行を決行した。
妻は、パート先のスーパーを出ると、数男と暮らすアパートとは反対方向にたった一人で向かった。気付かれないように細心の注意をしながら付けて行くと、やがて妻は坂の上にある古い洋館に入っていった。
数男は、しばらく重そうな扉の前で中の様子を窺っていたが、雷鳴に驚いて身体を扉の方に寄せたら、その重みで扉が開いた。
鍵が掛かっていなかったのは、運命の導きだと思い、数男は息を潜めて邸内を探り歩いた。
洋館の中はしんとして人の気配が感じられず不気味だったが、窓を打つ激しい雨音のおかげで、静寂の恐怖は多少緩和されていた。
しばらくすると、ある部屋から微かな灯りが漏れているのがわかった。
数男は、静かに静かに近付いて、そっと扉の隙間から中を覗き込んだ。
中には、巨大な水槽のような物が置いてあったが、水は入っていなかった。
そして、その中に見たこともない大きな魚と妻がいた。
妻は、魚と、していた。
そして、視界が効かないことを考慮して、雨の激しく降る夜に尾行を決行した。
妻は、パート先のスーパーを出ると、数男と暮らすアパートとは反対方向にたった一人で向かった。気付かれないように細心の注意をしながら付けて行くと、やがて妻は坂の上にある古い洋館に入っていった。
数男は、しばらく重そうな扉の前で中の様子を窺っていたが、雷鳴に驚いて身体を扉の方に寄せたら、その重みで扉が開いた。
鍵が掛かっていなかったのは、運命の導きだと思い、数男は息を潜めて邸内を探り歩いた。
洋館の中はしんとして人の気配が感じられず不気味だったが、窓を打つ激しい雨音のおかげで、静寂の恐怖は多少緩和されていた。
しばらくすると、ある部屋から微かな灯りが漏れているのがわかった。
数男は、静かに静かに近付いて、そっと扉の隙間から中を覗き込んだ。
中には、巨大な水槽のような物が置いてあったが、水は入っていなかった。
そして、その中に見たこともない大きな魚と妻がいた。
妻は、魚と、していた。
by Joker-party
| 2008-05-10 11:35