2008年 05月 14日
緊張しまくり
母が亡くなって、もうすぐ十年。
末っ子の孝子が去年結婚したの機に、父に再婚の話が持ち上がった。
世話好きの叔母が、友達との見合い話を持ってきたのだ。
最初は断り続けていた父だったが、「父さんがいいなら、あたしはいいと思う」という孝子の一言で、父はお見合いをすることにした。
再婚だし格式ばった場所だと緊張するからという父の申し出で、近所にある幼馴染みの徳ちゃんがやっている居酒屋で見合いは行われた。
二階の座敷で、叔母と徳ちゃんの立会いのもと、お見合いが始まったのだが、とにかく父は緊張しまくりなのであった。
幼い頃から親の商売を手伝って現在は二代目として乾物屋をやっている父は、客商売だけに人当たりも良く、普段はどんな有名人が訪れても緊張などしたことがないくせに、今回ばかりは全然違っていて、お見合いの当日はもちろん日取りが決まった三週間前ぐらいから緊張しまくりなのだった。
話題が途切れたら失礼になると、読み慣れない本を買ってきたり、メモを取りながらニュースを見たり、会場は居酒屋だと言うのにウチらをフレンチレストランに誘ってテーブルマナーを練習したり、とにかく大変な下準備ぶりだった。
そして、当日が近付くに連れて、自分の声がダミ声じゃないだろうかと心配し始め、何度もウガイをしたり、変な発声練習をしたり、その緊張振りは見ていて少し気の毒なほどだったが、そんな父の「緊張しまくり姿」は、とても笑えて愛らしかった。
父のことを可愛いと思ったのは、おそらくこの時が初めてだろう。
末っ子の孝子が去年結婚したの機に、父に再婚の話が持ち上がった。
世話好きの叔母が、友達との見合い話を持ってきたのだ。
最初は断り続けていた父だったが、「父さんがいいなら、あたしはいいと思う」という孝子の一言で、父はお見合いをすることにした。
再婚だし格式ばった場所だと緊張するからという父の申し出で、近所にある幼馴染みの徳ちゃんがやっている居酒屋で見合いは行われた。
二階の座敷で、叔母と徳ちゃんの立会いのもと、お見合いが始まったのだが、とにかく父は緊張しまくりなのであった。
幼い頃から親の商売を手伝って現在は二代目として乾物屋をやっている父は、客商売だけに人当たりも良く、普段はどんな有名人が訪れても緊張などしたことがないくせに、今回ばかりは全然違っていて、お見合いの当日はもちろん日取りが決まった三週間前ぐらいから緊張しまくりなのだった。
話題が途切れたら失礼になると、読み慣れない本を買ってきたり、メモを取りながらニュースを見たり、会場は居酒屋だと言うのにウチらをフレンチレストランに誘ってテーブルマナーを練習したり、とにかく大変な下準備ぶりだった。
そして、当日が近付くに連れて、自分の声がダミ声じゃないだろうかと心配し始め、何度もウガイをしたり、変な発声練習をしたり、その緊張振りは見ていて少し気の毒なほどだったが、そんな父の「緊張しまくり姿」は、とても笑えて愛らしかった。
父のことを可愛いと思ったのは、おそらくこの時が初めてだろう。
by Joker-party
| 2008-05-14 06:49