2008年 12月 21日
ビリオ
1年生のツトム君は、かけっこが苦手です。
一生懸命走るんですが、いつもビリ。
だから、みんなはビリオと呼ぶようになりました。
最初のうちは、からかって「ビリオ」と呼ぶだけでした。
ツトム君は、笑って「なあに」と答えます。
そのうち、だんだんこんなことも言うようになりました。
「おい、ビリオ。ここ、掃除して」
「教室に筆箱忘れちゃった。ビリオ、取ってきてよ」
「ビリオ、疲れたからおんぶして」
ツトム君は、笑って「はあい」と答えて、みんなの言うことをききます。
先生は、そんなツトム君を見ていて、なんだか可哀想になりました。
そこで、ある日の放課後、ツトム君を呼んで聞きました。
「ツトム君は、ビリオって呼ばれてるみたいだけど、イヤじゃないの?」
「うん。だって、ボク、ビリだから」
「そうかあ…。でも、みんなの言うこと聞いてたら大変でしょう?」
「ううん、平気だよ」
「ほんとに?」
「うん。だって、みんな喜んでくれるから」
先生は、泣きそうになるのをこらえて、ツトム君の頭を何度も撫でました。
今、先生は、ツトム君のやっている居酒屋『ビリオ』で美味しいお酒を飲んでいます。
一生懸命走るんですが、いつもビリ。
だから、みんなはビリオと呼ぶようになりました。
最初のうちは、からかって「ビリオ」と呼ぶだけでした。
ツトム君は、笑って「なあに」と答えます。
そのうち、だんだんこんなことも言うようになりました。
「おい、ビリオ。ここ、掃除して」
「教室に筆箱忘れちゃった。ビリオ、取ってきてよ」
「ビリオ、疲れたからおんぶして」
ツトム君は、笑って「はあい」と答えて、みんなの言うことをききます。
先生は、そんなツトム君を見ていて、なんだか可哀想になりました。
そこで、ある日の放課後、ツトム君を呼んで聞きました。
「ツトム君は、ビリオって呼ばれてるみたいだけど、イヤじゃないの?」
「うん。だって、ボク、ビリだから」
「そうかあ…。でも、みんなの言うこと聞いてたら大変でしょう?」
「ううん、平気だよ」
「ほんとに?」
「うん。だって、みんな喜んでくれるから」
先生は、泣きそうになるのをこらえて、ツトム君の頭を何度も撫でました。
今、先生は、ツトム君のやっている居酒屋『ビリオ』で美味しいお酒を飲んでいます。
by Joker-party
| 2008-12-21 08:04