2009年 05月 28日
大根と味噌
冷蔵庫の野菜室に大根が眠っていた。
一番下で静かに白く眠っていたので、誰も気付かなかった。
大根の上に、キャベツや茄子やトマトが重なり、そして去っていったが、大根は眠ったままだった。
ある日、大根の上に重ねられていた野菜がすべてなくなった。
野菜室には、そろそろ皺が出始めてきた熟年の大根だけになった。
その老いた大根を小さな娘が見つけた。
娘は、大根を取り出して洗った。
大根は、長い眠りから覚めてぶるっとした。
娘は、大根を切ってもらった。
そして味噌を付けて齧った。
大根は、懸命にポリッポリッと吠えた。
やがて、娘は大根をまるごと平らげてしまった。
大根は、娘の胃の中でゆっくり眠り始めた。
その夜、娘は大根に乗って草原を飛ぶ夢を見た。
味噌は思った。
結局、俺ってなんなわけ?
一番下で静かに白く眠っていたので、誰も気付かなかった。
大根の上に、キャベツや茄子やトマトが重なり、そして去っていったが、大根は眠ったままだった。
ある日、大根の上に重ねられていた野菜がすべてなくなった。
野菜室には、そろそろ皺が出始めてきた熟年の大根だけになった。
その老いた大根を小さな娘が見つけた。
娘は、大根を取り出して洗った。
大根は、長い眠りから覚めてぶるっとした。
娘は、大根を切ってもらった。
そして味噌を付けて齧った。
大根は、懸命にポリッポリッと吠えた。
やがて、娘は大根をまるごと平らげてしまった。
大根は、娘の胃の中でゆっくり眠り始めた。
その夜、娘は大根に乗って草原を飛ぶ夢を見た。
味噌は思った。
結局、俺ってなんなわけ?
by Joker-party
| 2009-05-28 04:01